スーツの歴史

スーツの歴史

ビジネスマンの勝負服や、ハレの日の一張羅として親しまれているスーツ。

我々日本人にも普段から馴染みの深いスーツですが、皆さんはそんなスーツの起源をご存知ですか?

スーツの初まりは、ヨーロッパにあると言われています。

15~16世紀頃に生まれたフロックコートは、もともと農民の作業着や外出用の服として用いられていましたが、その後、一般市民の外出着として改良されます。

18世紀にはイギリス紳士の装いとして普及し、これがスーツの原型となりました。

日本には、明治維新以降に外国文化の一つとして入ってきたのが始まりで、本格的に広まったのは明治20年以降であると言われています。

スーツ発祥の地、イギリスでは紳士の服装として用いられていましたが、日本に入ってきてからは、スリーピーススーツが通勤着や日常着として普及しました。

大正時代に入ると、男性がスーツを着るスタイルは一気に増えていきましたが、この時代のスーツは全てオーダーメイドの品であり、庶民には高嶺の花の高級品でした。

一般市民が着るには、なかなかハードルが高いものだったのかもしれませんね。

その後、時代は昭和へと移り変わりますが、第二次世界大戦が始まり人々の衣服にも制限がかけられるようになります。

ぜいたく品であるスーツはますます市民からは遠い存在になってしまいましたが、やがて戦争も終わり、機械化、大量生産の時代がやってきます。

そのことによって、スーツは日本国民に広く普及するようになりました。

1960年代から、スーツにも様々な流行やスタイルが反映されるようになり、現在ではタイトで、より自然なシルエットのものが主流となっています。

スーツの種類について

スーツの種類について

オーダースーツでは、たくさんの形の中からスーツを選ぶことができる場合が多いですが、そんな時、スーツの種類に関しては、ある程度知っておきたいですよね。

一体、どんなものがあるのでしょうか。

スーツには大きく分けて2種類あり、ひとつはシングルスーツ、もうひとつはダブルスーツです。

前ボタンの配列が1列のデザインになっているのがシングルスーツで、ベーシックなデザインは、着る人を選ばないと言われます。

それに対して、ダブルスーツはボタンの配列が2列となっているデザインです。

上着の打ち合わせ部を重ね合わせるようになっており、シングルスーツよりフォーマルな印象を与えるのがダブルスーツの特徴です。

ボタンの数は4つや6つなど、様々なバリエーションがあり、ここぞという時に着たいスーツですね。

また、シングル・ダブルの他にも、ツーピーススーツ・スリーピーススーツという分類もできます。

ツーピーススーツは、一般的によく見るスーツの種類で、ジャケットとスラックスで構成されているものをこう呼びます。

これに対して、スリーピーススーツはどんなものかというと、ツーピーススーツにベストを加えた構成のものをこう呼びます。

スリーピーススーツは三つ揃えとも言われ、ビジネスシーンやカジュアルシーンと、着こなしによって幅広く対応できるのが特徴です。

せっかくオーダースーツを購入するのであれば、是非、スリーピースのスーツを検討してみてはいかがでしょうか。

一生物として、様々な場面で着用することができます。

その他には、ボタンの数にもパターンがあります。

一般的にみられるのは、2つボタンのタイプと、3つボタンのタイプですね。

最近では、2つボタンのタイプが主流であると言われています。

ボタンが2つであることにより、ネクタイが見えるゾーンが広くなり、より印象がシャープになります。ビジネスだけではなく、冠婚葬祭などの場でも使える万能タイプが、この2つボタンタイプです。

それに対し、3つボタンタイプはひと昔前に流行した形です。2つボタンに比べてネクタイが見えるゾーンが狭くなることによって、印象はよりクラシカルになります。

また、2つボタン、3つボタンに共通して言えることとして、一番下のボタンは留めないようにするのがマナーです。

これは、スーツにシワができたり、型崩れするのを防ぐためであると言われています。

最近では、3つボタンのスーツを着用している人が少なくなってきているため、オフィシャルな場や、重要な会議などで着用すると、雰囲気に合わない場合があります。

しかし、3つボタンのシルエットにも色褪せない魅力がありますので、クラシカルな雰囲気を楽しみたい方など、印象的なスタイルで着こなしたい方にはおすすめです。

スーツの柄について

スーツの柄について

スーツには、無地やストライプ、チェックなど色々な柄のものがあります。

そんな中から、お気に入りを見つけるのも、オーダースーツの魅力ですよね。

スーツの柄には大きく分けて、無地、ストライプ、チェック、織り柄があり、ビジネスシーンで着用する際は、定番である無地とストライプがおすすめです。

また、ストライプは定番の柄ですが、デザインや種類によって様々な印象になります。

一般的なストライプ柄には、「ピンストライプ」と「シャドーストライプ」がありますが、どちらもビジネスシーンでは使いやすいストライプ柄ですね。

シャドーストライプは、一見すると無地に見えるがよく見るとストライプ柄が入っているもので、初めてストライプのスーツを着るという方にもおすすめできます。

また、ストライプ柄は、ラインの幅によっても大きく印象が変わります。

ラインの間隔が狭く細いストライプは、洗練されたドレッシーな印象となるのに対し、間隔が広く太いストライプは、華やかな印象を与えます。

スーツを着用するシーンに合わせて、場面にあったストライプ柄を選びたいですね。

また、冠婚葬祭に参加する際には、それにふさわしい柄のスーツを着たいものです。

一般的に、結婚式に参列する場合は、新郎新婦よりも目立つ服装はNGとされています。

基本的には無地のブラックがふさわしいとされていますが、最近では、暗めのカラーであればOKの場合もありますので、会場の雰囲気などによって選ぶのが良いでしょう。

派手なカラーやコントラストの主張が強いストライプ柄は避けたほうが無難ですね。

場面によっては、おしゃれで華やかな印象を与えられるストライプ柄ですが、その分、より真面目な印象を与えたい場面では、無地やダークトーンのスーツを選ぶようにしましょう。

場面にあったスーツをおしゃれに着こなせる、かっこいい男性を目指したいですね。

オーダースーツのメリットとは?

オーダースーツのメリットとは?

私たちがスーツを購入する際、既製品を購入するか、オーダースーツを購入するか、予算や目的に応じて決めますよね。

最近では、比較的安価に質の良いスーツが手に入るようになってきたので、既製品のスーツで十分なのではないかという方も、少なくないかと思います。

では、オーダースーツを仕立ててもらうということにはどんなメリットがあるのでしょうか。

ひとつは、やはり自分の体型にピッタリ合ったスーツを着ることによって、既製品のスーツでは得ることのできないフィット感や動きやすさを感じることができるという点でしょう。

仕事でスーツを着る人にとって、動きやすさというのは特に重要なポイントですよね。

また、ふたつ目に挙げられるメリットとして、自分で選んだデザインや生地でスーツを作れるという点があります。

既製品のスーツを購入する際に、「形はピッタリだけど、色がイマイチ」「ボタンの色が違う色だったらよかったのに」などといったことがありますよね。

オーダースーツでは、そういった「ここをもう少しこうしたい」のような要望が叶えられるというのが大きなポイントです。

オーダースーツを作る際の注意点は?

オーダースーツを作る際の注意点は?

自分にピッタリと合ったスーツを仕立ててもらうことのできる、オーダースーツにはたくさんの魅力があります。

しかし、スーツをオーダーする際には、気をつけないといけない点もあります。

せっかくオーダーしたスーツがピッタリ合わず、失敗してしまったということが起こらない為にも、いくつか注意する点を押さえておきましょう。

オーダースーツで失敗してしまう原因はいくつか考えられますが、ひとつめに挙げられるのは、イメージが曖昧な状態でオーダーしてしまうことです。

イメージが固まらないままオーダーをしてしまうと、結果として仕上がったスーツが、当初のイメージとかけ離れてしまうということが起こる場合があります。

こういったことが起こらないように、スーツをオーダーする際には、店員の方にも相談をしながら、十分にイメージを共有しておくと良いでしょう。

また、見本をあまり確認しないままオーダーしてしまうというのも、失敗の原因になります。

生地や型紙など、自分のイメージと実物がかけ離れていては、実際に出来上がったスーツの印象との間にギャップが生まれてしまいます。

そうならない為にも、お店でスーツをオーダーする際には、実際の生地見本や型紙をしっかりとチェックするようにしましょう。

また、生地の色味に関しても、画像だけでチェックするのはあまりよくありません。

画面の設定やライトによる色の見え方なども考慮し、実物を見て選ぶようにしたいですね。

イメージがわきにくい場合は、店員の方に聞いてみたり、相談してみるのが一番です。

スーツのことを知り尽くしているプロフェッショナルに聞くのが、オーダースーツの失敗を避ける最も有効な方法ですね。

オーダースーツを作るのに予約は必要か

オーダースーツを作るのに予約は必要か

オーダースーツは自分にぴったり合ったスーツを作ってもらえるのがポイントですが、その際には必ず採寸が必要です。

自分の体のサイズを採寸のプロに測ってもらうことによって、自分だけのスーツが出来上がります。

他にも、スーツをオーダーする際には、たくさんの種類がある生地やシルエットの中から自分に合ったものを選びます。

作りたいスーツのイメージがしっかり決まっていれば問題ありませんが、どんなスーツにするかが具体的に決まっていない場合は、店員の方と相談しながら、最適なパターンを選ぶのが良いでしょう。

そのためにも、オーダースーツ店に行く際には、事前に予約をしてから向かうのがおすすめです。

予約をしてから行くことで、いざお店に行ってみたら他のお客さんがいっぱいでその日のうちにオーダーができなかったり、待ち時間がかかったりといったことを避けることができます。

また、一部のオーダースーツ店では完全予約制を取っているところもありますので、オーダースーツ店に行く際は事前に確認しておくのが最善でしょう。

生地の種類について

生地の種類について

オーダースーツを初めて作る場合は、形やシルエットで迷われる方が多いかと思います。

しかし、「生地選び」にもオーダースーツの醍醐味があります。

生地と一概に言っても、色、繊維、織り方、柄などによって、スーツの印象は全く違ったものになりますので、自分のイメージにぴったりの生地を選んで、大切な1着をオーダーしたいものですね。

スーツの生地として代表的なものに「ウール」がありますが、このウール生地にも、糸の紡ぎ方によって「梳毛糸(そもうし)」と「紡毛糸(ぼうもうし)」の2種類に分けられます。

「梳毛糸」は、細くて長い羊毛から紡がれた糸で、つやがあり、滑らかな表面になるのが特徴です。

逆に「紡毛糸」は、太くて短い羊毛から紡がれた糸で、つやはありませんが、軽くて暖かい糸になるのが特徴です。

紡毛糸は、ツイードやフランネルなど、暖かさが必要なジャケットやコートなどに使用されます。

また、ウールには織り方によっても「平織り」と「綾織り」の2種類に分けられます。

「平織り」は単純な織り方ですが、丈夫で通気性に優れているのが特徴としてあげられます。

「綾織り」は生地の密度が高くなる為、冬物に使用されることが多い織り方で、保温性や耐久性に優れ、つやのある生地に仕上がるのが特徴です。

他にも、スーツに使用される生地には色々な種類のものがあります。

絹(シルク)は、蚕の繭から作られる天然素材で、静電気が起きにくく、肌触りが抜群に良いのが特徴です。

また、光沢が強く、吸湿性や保温性、透湿性に優れており、高級生地ではウールと混紡されていることもあります。

その一方で、デリケートな素材でもあるため、熱や摩擦に弱く、縮みやすいという弱点もあります。

化学繊維の代表としては、ポリエステルが挙げられます。

ポリエステルは、耐久性が高く非常に丈夫であるほかに、弾力もあるため、シワになりにくいという特徴もあります。

天然繊維である絹には及びませんが、光沢感や型崩れのしにくさから、しばしばスーツに用いられます。

良い生地とはどんな生地か?

良い生地とはどんな生地か?

スーツに使用される生地には、繊維の種類、織り方などによって様々な種類がありますが、一体どんな生地が「良い生地」なのでしょうか。

良い生地のポイントとして一番に挙げられるのは、光沢です。

光沢のある生地にはシルクが織り込まれていることが多く、スーツ全体の高級感を演出してくれます。

また、柔らかな生地かどうかというのも、スーツの着心地に影響してきますし、スーツのシワがすぐ戻るかどうかというのも良い生地かどうかを見極めるポイントとなります。

他にも、生地の値段には繊維の細さが大きく関わっており、生地の繊維が細ければ細いほど、高級な生地となります。

では、産地によって、生地の良し悪しはあるのでしょうか。

一般的に、毛織物の産地としてよく比較されるのは、日本・イギリス・イタリアです。

日本製の生地は、コシが強く厚手であるのが特徴です。

また、耐久性に優れているのも、日本製の生地のポイントですね。

イギリス製の生地も、ハリやコシがあり、厚くて硬めの生地が特徴で、イギリスは寒い地域の国であるため、防寒性のある生地が生産される傾向にあります。

また、日本のスーツはイギリスを源流としているため、生地の特徴が近いです。

それに対して、イタリアの生地は柔らかく、滑らかなのが特徴です。

その分、イギリスや日本の生地と比べると、生地の強度はやや弱い傾向にあります。

良い生地を見極めるには、それなりの知識や経験も必要になりますので、迷った時は店員の方に聞いてみるのが良いのではないでしょうか。

自分の好みや生地の特徴に合わせて、スーツをオーダーしてみると、仕上がりにも納得できるスーツができるでしょう。